ジウ|誉田哲也|おすすめ小説ランキング

ジウ|誉田哲也

ジウ|誉田哲也 辛口感想

 

 

特殊犯捜査係【SIT】に所属する美咲と基子。水と油のように対照的な2人だったが、白昼発生した人質籠城事件を境に、美咲は所轄署へ飛ばされ児童誘拐事件の捜査本部に加わることになり、基子は女性初のSAT隊員に任じられる。
誘拐事件の主犯が中国人の少年・ジウであることが判明し、捜査本部はジウの潜伏先を調査、その過程で警官1人が殉職した。
捜査が進むにつれ、“新世界秩序”という謎の理念を持つ組織が存在し、ジウもまたその組織に関係していることが判明。捜査本部の東と門倉美咲はジウを追う。
信用金庫に人質を取って立てこもり事件でSATの1個小隊が壊滅し、新世界秩序の計画がSATの中へも浸食する。
新世界秩序の生みの親、ミヤジの壮大な計画がスタートする。内閣総理大臣の拉致歌舞伎町封鎖、孤立した歌舞伎町は“新世界”となり、暴徒と化した人々が銃撃戦を繰り広げる。
歌舞伎町を封鎖したミヤジは総理大臣を人質に思ってもいなかったテロとなる、しかも総理大臣を拉致したのが現役のSAT隊員であると判明し、警察幹部は戦々恐々する。だが、美咲と小野(基子の上司)は、基子がそんなことをするはずがないと直感し、たった2人で封鎖された歌舞伎町へ乗り込む。

 

最後までメインとなる基子と美咲の関係は言うまでもないですが、基子と雨宮の関係はすごく印象に残った。男は敵だともいえる態度しかしない基子が初めて惚れた雨宮。雨宮との関係はそう長くはなかったですけど、結構印象に残ります。

 

そして、強烈なのが“新世界秩序”を進めるミヤジの生い立ちからはじまる彼の思想。彼に心酔する竹内の取調室での供述。
竹内「そもそも、人はなぜ人を殺してはいけないのだ」
***中略***
竹内「今お前がしているそれは、なんだ」
東「…ネクタイ、だが」
竹内「お前ら刑事がネクタイを締めるのは、一般男性の多くが締めているから、した方が目立たなくなるからするだけの話だろう。***中略***失礼がないように締めているに過ぎない。そう…たったそれだけの理由で、おびただしい数の人間が、何の機能もない帯を首に巻いて1日の大半を過ごしている。…お前、自分とまったく同じ柄のネクタイを締めている人間と、今までに出会ったことがあるか」
東は「いや」とかぶりを振った。
竹内「***中略***ネクタイ柄のバリエーションを数えたら、おそらくとんでもない数値になる。そこまでの努力を、あるいは国力の一部を、実質的機能をまるで持たないその布キレに傾ける理由はなんだ?…これは変だと思わないか?その裏にどんな意思があるのか、そんな風にかんがえたりはしないのか?」
竹内「***中略***しかもそれが、何者かの意思…ある特定層の利益のために、流布された観念である可能性が高いということだ。…そのひとつが、殺人の禁止だよ」
ミヤジの思想が浸透していると強烈に感じた会話シーンでした。正直このセリフでミヤジの作ろうとしている世界が何となくわかった気がしました。
その言葉に耳を傾ける東に、美咲は嫌悪感を示しますが、バカみたいに純粋で正直な心を持った美咲を良く表現していて良い。この純粋さが基子を変えることになるのですが…。

 

ミヤジの生い立ちやそれをベースとする数々の犯罪者。徐々に解けていくジウや新世界秩序の全貌。

 

しかし、新世界秩序とジウは根本的に違う。それは、ジウの行動を見てもよく分かります。ジウと基子の1度目の対決。基子への対応。ジウの生い立ちを考えると考えさせるものがある。

 

そして、すべてが終わった時に、ジウとその仲間に誘拐され指を落とされた利憲くんを訪れた美咲。ことの真相を説明したシーン。最高です。
利憲「…あの人(犯人ジウ)、死んじゃったんでしょ」
美咲「うん、そう…しかも私、その場に、いたの」
***中略***
利憲「…なんか、ずるいね」
美咲「そうだね…ずるいよね…」
***中略***
(私的解説)ジウがたびたびテレビの前で叫んでいた「ウォー・ザイ・ズゥ・リー(我在這里)」。意味は「我ここにあり」。ジウを置いて日本を出た両親に向かって叫ぶように。それを見た美咲はふとジウの置かれている立場を理解したのだと思います。(私的解説終り)
美咲「…そのジウって、実は両親が、中国人だったのね。それもパスポートも何もないで、勝手に日本に入ってきちゃった、ちょっと、法律違反ていうか」
***中略***
美咲「…でも彼は中国で生まれたわけじゃないから、中国人じゃないし、そもそも両親が密入国なわけだから、もちろん日本人でもない。そういう、ジウは、どこの国でもない子供だったの」
***中略***
美咲「うん…それはね、僕はここにいる、って意味なのね。私それ…実はジウが、中国にいるお父さん、お母さんに、送ったメッセージだったんじゃないかって、思ってるの。***中略***ジウは、僕はここにいるよ、日本で、独りぼっちになったけど、でも、僕はちゃんと、こうやって生きてるよって…伝えたかったんじゃないかって、私は思うの」
利憲が、美咲の膝に、そっと手を置く。

 

単なるエンターテインメントではなくて、最後にこうしたシーンがあるのは正直泣けてきました。何か今までのストーリーが全部解けたような、そんな気がしました。

 

とても良かったです。

分類

評価

コメント

警察・刑事小説 ジウ

警察・刑事小説の枠を越えた壮大なエンターテインメント。最後まで飽きさせない作品でした。

ランクの目安は下記を参考にしてください。

「やめとけ!買うというより読んじゃダメだ。」というレベル。

「やめた方がいい。買うと損するぞ。」というレベル。

「時間があったら読んでもいいんじゃない。」というレベル。

「割といい感じだと思う。」というレベル。

「すごくいいぜ!読む価値あるよ。」というレベル。

「絶対読んで!何が何でも読んでね。」というレベル。
選定した本及び感想については大きく偏っている可能性もありますが、実際に読みたかった本や話題の本などを自分の好みに合わせて読んでいるだけなので、何を意識したものでもありません。また、ここで記述されてある感想についても管理者自身の感想となりますので、何かを保証するものではありません。

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