サヨナライツカ|辻仁成|おすすめ小説ランキング

サヨナライツカ|辻仁成

サヨナライツカ|辻仁成 辛口感想

 

『人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと、愛したことを思い出すヒトにわかれる。私はきっと愛したことを思い出す』 というセリフが印象的な、辻仁成が愛に生きるすべての人に捧げる最もせつなく、最もはかない究極の愛の物語。ということで読んでみました。

 

これを読んで、すぐに、ヴィルヘルム・ミューラー(ドイツの詩人)の「愛は時の威力を破り、未来と過去を永遠に結び合わせる」という言葉を思い出しました。“切ない”という気持ちをこれでもかと最大限に表現したい作者の意図は執念のようだと思った小説でした。
最初は、刹那的な冒険のように関係を続けてきた沓子と豊だが、終りが来るのをそれとなく気づいていた2人が、ただ、ただ抱き合うのは、痛々しいほどだった。「性器の付け根が痛くなるほど二人は激しく繰り返し抱き合った。性欲はなかった。快楽もない。…ただ無性に激しく擦るたび、二人は繊細に気づつけあった」この表現は、永遠に結ばれない愛の末を、辻仁成が表現した最大限の表現だったのではないでしょうか。

 

簡単に言えば、「どちらがどれだけ惚れていたのか、そして惚れた比重が高いものの負け」というような小説のよな感じがして、それをベースに考えると、妻も子供もいて家族として未来がある豊の方が最終的に勝ち組だったのかもしれない。と思いつつ、でも沓子が負け組だったとも思えない。そんな議論は無意味だと後で感じました。
男女でも同性同士でも、それが恋人でも友人でも、「主導権を取っている方がどちらかというとその関係に興味がない方だ」。これは、2人の関係上ずっとそうなるわけでなく、瞬間瞬間に変化していくもので、そう考えると、最終的には主導権を貫いた沓子は幸せだったと思いたい。

 

どっちが幸せだったかという考え方は不毛で、「愛した」ことの喜び、辛さ、切なさ、つまり「人を心から愛した」こと自体を極論で表現したものだと思っています。

 

濃い。非常に濃い恋愛小説でした。久々に読んだ恋愛小説だったのですが、結構強烈でした。

 

豊と沓子が出会うところは、ちょっと無理があるかなぁとも思いましたが、それはそれとして、お腹いっぱいになる作品です。

 

そして、第2部が手紙形式で書かれているところは、読者を泣かせようとする意図が前面にでてはいるのですが、それがわかっても泣けました。

 

自分にもこんなに恋愛に集中できる、刹那的な時期あったら、どんなにいいだろうと思います。ここまではおそらくそうないでしょうが。
とにかく、軽くはなかったですが、久々の恋愛もの、結構楽しめました。

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恋愛小説 サヨナライツカ

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